12月12日の本会議で、横須賀市議会始まって以来初となる議員の懲罰が全会一致で可決されました。
この件について、数名の方から問い合わせがありましたので、日本共産党市議団が懲罰動議の提案者となり、懲罰に賛成した理由について述べておきたいと思います。
12月10日の予算決算常任委員会の討論において、小林議員が「横須賀市下水道条例中改正について」賛成討論を行いました。
その中で、本人の地方自治法や議会基本条例の理解不足、事実誤認に基づく議会批判をしたことが懲罰の対象となりました。
以下の内容が、問題となった部分です。少し長いですが、引用します。
「主にこの2点の問題意識から、別な料金体系も考えあわせたほうが議論は深まると考えました。そこで第2回定例会において、調停数、つまり世帯数を使用水量ごとに示した資料を、加藤真眞道委員長にお認めいただき委員会として要求していただきました。そのデータを元にシミュレーションを行い、17%分を確保できる別案を用意しました。そして、第3回定例会において、それをもとに議論しようとしましたが、その時点では議案ではなく報告事項だったため別案の配布は認められませんでした。そして、今回の第4回定例会こそ、別案を配布して議論しようとしました。しかし、今度は「今更、直前に配られた別案をもとに議論するのは難しい」との指摘を受け、断念しました。
結果として、私自身は十分に議会での議論ができませんでした。
そのため、今回の採決は退席しようかとも考えました。
ただし、議論ができなかったのは議会のせいではなく、私に謙虚さが足りなかったのだと思います。
私は、なんでも市民に見える場で議論すべきだと考えてきました。公開されている本会議や委員会でオープンに平場の議論をするように努めてきました。しかし、横須賀市議会には横須賀市議会の伝統や習わしがあります。議会の場に出す前に、控室等で議論をし、すり合せや根回しをしておくのが慣例。ならば、「郷に入りては郷に従え」の格言に謙虚に学び、市民に見えない場所でも議論を深めるべきでした。」
私は、この中で指摘しておかなければならない主な点を2つあげておきます。
第1点は、地方自治法や議会基本条例などの議会にかかわる制度の理解不足がある点です。
小林議員は「今回の第4回定例会こそ、別案を配布して議論しようとしました。」と述べていますが、地方自治法上、公式な議会の場で市長提案の議案が審議されているときに議員が別案を出すということは、議員の12分の1の賛成を得て別の議案提案をするか、修正動議を提出し、論議することしかできません。委員会の場では、一人でも修正動議を出すことができます。しかし、小林議員のように決められた手続きを行わず、それ以外の方法では、正式な場での論議はできません。
そのことは事前に議会事務局に指摘されており、知っていたはずです。しかし、小林議員はその手続きを行いませんでした。そのようにできる手続きを行わないで、地方自治法上認められていないことをやろうとして断られたことを持って「結果として、私自身は十分に議会での議論ができませんでした。」というのは、あまりにも法律の理解不足に基づく市議会への批判であり、それは是正されるべきと思います。
小林議員は、議会基本条例には、議員間討議が規定されているからそれをしたかったと懲罰特別委員会で述べています。議会基本条例には、確かに第8条で「合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議を重んじること」、第20条で議員相互の討議の推進がうたわれています。
私も議員間討議を進めることに賛成です。しかし、憲法第94条で「地方公共団体は~中略~法律の範囲内で条例を制定することができる」と示されているように、議会基本条例も地方自治法の範囲内で規定されています。ですので、地方自治法で規定された議員提案のルールに基づいて提案されれば、議員間の討議は成立しますが、地方自治法上認められていない提案は論議ができないのは当然であります。
さらに、議会基本条例では、第6条で「議案提出権、市長提出議案に対する修正動議の発議権等を議員が有することを踏まえて議決権を行使し、市政の運営に貢献すること」第8条の第2項では、「議案に対する議決への参加のみならず、本市の政策を自ら策定するため、議案を提案することを議員の重要な役割と捉え、積極的な調査研究その他の活動を通じて市民の福祉と生活の向上に貢献すること」と書かれており、積極的に議案提案や修正動議を出すことを規定しています。
これらのことを考えれば、議会基本条例にあるように議員提案をせず、自ら議員間討議の場を設定していないにも関わらず、議会を批判することについては、反省しなければならないと思います。
第2点は、事実誤認に基づく、独りよがりの議会批判であることです。
小林議員は、「横須賀市議会には横須賀市議会の伝統や習わしがあります。議会の場に出す前に、控室等で議論をし、すり合せや根回しをしておくのが慣例。」と述べていますが、このような慣例はどこにも規定されていませんし、何が「すり合せ」「根回し」に該当するかもはっきりと小林議員は答えることができませんでした。
小林議員が何を「すり合わせ」「根回し」といっているのかわかりませんが、たとえば、議員発議で意見書を出すときなどに、他の会派から事前に意見書の内容を教えてもらうことがあります。しかし、事前にもらったからといってすべて賛成するわけでもありません。逆に、事前にもらっておけば、公式な議会の場で論議する準備ができるため、しっかりとした論議につながることもあります。
また、私たちは、以前住民投票条例案の修正案を提出したことがありますが、私たち日本共産党市議団だけでは、議員提案ができません。ですので議員提案によって条例を提出するときなどは、他の会派や無会派の方に賛同者を求めなければなりません。その賛同者を求めることも「すり合わせ」「根回し」にあたるのでしょうか?
それが、市民に見えない場所での論議として批判するのであれば、無会派や少数会派はどうやって議員提案をすればいいのでしょうか?
さらに、各議員が議会で行動を起こす際に事前にその内容を知らせることやその内容について確認することは、これまでも他の会派から小林議員にも知らされていたことだと思いますし、ご自分もいろいろな場面で行ってきたことではないでしょうか?
それにもかかわらず、「市民の見えない場所でも論議を深めるべきでした」という言い方は、市民に議会があたかも市民の見えない場所で物事を決めているかのような印象を与えるもので、誤解を広げることです。しかも、小林議員はそれを意図して使っているようにうかがえます。
これらの行為は、議会の活性化にもつながらないし、これまで開かれた議会をつくるために取り組んできた市議会を貶めるものとして認めることはできません。
自らが、訂正をしないのであれば、議会からしっかりとした姿勢を示すことが必要と考えました。
その他、討論の内容について指摘したい点はありますが、懲罰動議に賛成した主な点だけ記しておきたいと思います。
私は、議員の発言はとても重く、責任があるため、しっかりとした根拠や論拠をもって発言されなければならないと考えています。
小林議員には、議会に関係する法律や制度、仕組みをしっかりと学び、議会での発言で他の議員から指摘されないようにさらに努力していただきたいと思います。
交渉会派に入れず、同じ少数会派で活動している一人として切に希望します。
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