視察報告の最後です。
尾道市で医療と介護の連携などについて視察しました。
尾道市は平成17年に御調町・向島町と、18年には因島市・瀬戸田町と合併し、人口は約14万6000人の島を抱えた市となっています。尾道市の医療環境としては、視察に行った尾道市立病院:330床の急性期の総合病院をはじめ、公立みつぎ総合病院:240床、JA尾道総合病院:393床の急性期の総合病院を軸に、回復リハビリ病院、療養型・有床診療所、開業医(約110医院)が存在します。
今回視察したのは、医療・介護長期継続ケアの実践についてということで、中心は総合病院を退院する際の地域医療や介護サービス事業者との連携がどのように行われているかという点でした。
まず、驚いたのは、地域の急性期の総合病院がすべて同じようなシステムでやっていることでした。このシステムを始めたきっかけは、約10年前に医師会の会長の声掛けでこの連携をとるシステム作りを始めたということでしたが、その意識や認識の一致がとても大切なように思います。
取り組みの中では、退院前に患者のお宅へ事前にケアマネージャーが訪問し、家の状況確認などを行ったり、退院1週間後に病院の看護師が、状況の把握に行くなど、診療報酬や介護報酬には反映されないところをやっているというところです。それだけ、人件費と時間がかかる取り組みを一緒にやっているのには、その地域の一体となった取り組みが必要と思います。
この取り組みには、総合病院の地域連携室、地域の診療所、地域の介護サービス事業所の連携がとても大切となります。地域連携室などが患者の治療の予測を立て上で、今後どのような対応が必要になるかの事前見通しを立てたうえで、早い段階から地域の診療所、介護サービス事業所と連携をとることが必要になります。そして、退院前には患者にかかわる方が一堂に会してカンファレンスを行うとのことです。その会議は15分とはいえ、みんなでその状況を把握するとともにどのようなサービスを提供するのかを認識することになります。そして、その会議を効率的に行うには、事前準備とそれまでのコーディネートが重要となります。これらの取り組みを進めるには、地域連携室の力量も問われることになると思います。
また、総合病院退院後は、地域の診療所にかかることになりますが、その時は診療所間での連携があり、一つの診療所だけでなく、複数の診療所でかかわる体制づくりも進められているとのことです。
やはりこれらの取り組みを進める上では、地域の医療、介護の連携が必要になり、それを進めることがとても大切です。これらのことを横須賀に引き付けて考えて見ると、尾道市とは人口規模も違い、近くに横浜市などの大都市を抱え、医療機関や介護事業者も多いことを考えるとこれらの取り組みには困難が多いと考えられますが、どのような連携の在り方が横須賀としてできるのかを考えることが必要だと感じました。
いずれにしろ、在宅介護や在宅医療がますます重要になることを考えれば、これらの取り組みを進めることが大切だと感じます。
そして、最後にもう一つ感じるのは、人材確保の重要性です。尾道市立病院では医師の確保が課題と述べていましたが、看護師は7:1で配置ができるようにしているとのことでした。医療や介護に従事する人の労働状況の改善などますます今後必要になると思います。
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